おじゃまタクシー■vol.12『応急手当訓練』~「バイスタンダー」の役割

おじゃまタクシー■vol.12『応急手当訓練』~「バイスタンダー」の役割


【おじゃまタクシー】

ちょっとおじゃまします。

【桜にN】(日本交通グループ関西)の元ドライバー 「日交郎(ニコロー)」が、タクシーやハイヤーの乗務経験 をもとに、安全運転に関することや大阪の話題などを自由に 書き綴るブログです。

おヒマなときにでも目を通していただければ幸いです。

日本交通 行灯

今年初の「おじゃまタクシー」ですね!本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、「公共交通機関」であるタクシーは24時間365日、街中を走り回っていますので、もし「応急(救命)手当」のできるタクシー乗務員がたくさんいれば、それだけで街が安全安心なものになりますよね! ましてや今後想定される大災害時でも街中に散らばった応急手当のできる乗務員が即座にお役に立てるだろうことは十分予想できます。

…とまぁ、そのような観点から、当グループでは教育部署(OTEC)の活動の一環として不定期ながら「普通救命講習」を行っています。ただ、コロナ禍でしばらく開催できていないのが無念…。
以前は所轄救急隊員の方々に来ていただいてましたが、OTEC副センター長のMa教官と私ニコローの2名が「応急手当普及員」資格者なので、ナンと!「普通救命講習」が自前でできるのです。

ちなみに「普通救命講習」の内容は以下の3項目です。

(正確には「普通救命講習Ⅰ」)

1)AED(自動体外式除細動器)を使用した心肺蘇生
2)気道異物の除去
3)ファーストエイド(その他の応急手当)

 
おじゃまタクシー

一般的に心臓マッサージといわれますが正式には「胸骨圧迫」といいます

字面だけ見ると難しそうですが、一つひとつ手順が決まっていますし、仮に手順を間違えたとしてもそんな大した問題ではありません。
それよりも目の前で倒れている人の命を救うためにとりあえず自分のできることをする!という勇気をもつことの方がはるかに重要だと思います。
思いがけない疾病や事故などで急に心臓が停止してしまうとその人の救命率は1分ごとに10%下がるといわれています。
また心臓停止後5分以内にAEDによる電気ショックが必要です。

もし皆さんの目の前で、家族や友人、そして誰かの家族や友人など「大切な」人が急に倒れたらどうでしょう?普通は驚いてパニックになるだろうし、あわてて119番通報するくらいしかできないような気がします。
救急車が現場に到着するまでの時間(これをレスポンスタイムといいます)は全国平均で「8.6分」とされていますが、実際の時間は…? 下の図をご覧ください。

おじゃまタクシー

「AEDガイド」より
https://inoti-aed.com/necessity-of-aed/

この「レスポンスタイム8.6分」とは、実は救急隊員が救急車に乗り込んで出発し、現地について傷病者に接触するまでの時間のことです。
でも、上の図を見るとわかるように、現実的には119番通報によって本部から最も近い救急隊に連絡が飛び、救急隊員が出動し現場に到着して救命処置を始めるまで12~13分前後かかってしまう、と考えた方がいいかもしれません。

さきほども書いたように救命処置が1分遅れるごとに救命率が10%下がりますので、119番通報した人が救急隊到着まで何もしなければ(できなければ)目の前で倒れている人はほとんど助からないという、実に悲しくも辛いことになる…。
(もちろん119番通報が何よりも優先されることはいうまでもありません)
そこで重要となってくるのが倒れた人のすぐそばにいる人です。
「すぐそばにいる人」なので「バイスタンダー(by stander)」といいます。
この一般市民である「バイスタンダー」が救急車到着までに応急手当を行うことで、その傷病者の救命率や社会復帰率が確実に上がります。そして、その「応急手当」のやり方を学ぶのが「普通救命講習」なのです。

おじゃまタクシー AED

最近では町のコンビニや駅などAEDを
設置しているところが増えてきました。
(日本救急医療財団 全国AEDマップ)
https://www.qqzaidanmap.jp/

この講習では「胸骨圧迫」「人工呼吸」そして「AEDの使い方」の訓練をします。
たとえ訓練であっても実際に経験してみる、使ってみることが大切ですよね。

AEDは「自動体外式除細動器」が本名です。
倒れた人の心臓の痙攣(けいれん)を止める(これを『除細動』といいます)ために自動
で心電図をとり電気ショックの指示を出してくれるんですよ。なんと賢いのでしょう!

「除細動」というと何かとても複雑な医療行為みたいですが、難しいことは全てAEDが
やってくれますし(賢い機械やから)「バイスタンダー」はAEDの出す音声や画面の指示通りにすればいいだけです。

でも、これもやってみなければわかりませんね。

「普通救命講習」は各地の消防署で、ほぼ定期的に催されていますので、それぞれの地域の消防署にお問い合わせください。

(ニコロー)

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