【おじゃまタクシー】vol.17『ひとりごと運転のススメ』

【おじゃまタクシー】vol.17『ひとりごと運転のススメ』


【おじゃまタクシー】

ちょっとおじゃまします。

【桜にN】(日本交通グループ関西)の元ドライバー 「日交郎(ニコロー)」が、タクシーやハイヤーの乗務経験 をもとに、安全運転に関することや大阪の話題などを自由に 書き綴るブログです。

おヒマなときにでも目を通していただければ幸いです。

日本交通 行灯

今回は皆さま方に「ひとりごと運転」をおススメしましょう。

「ひとりごと運転」ってお聞きになったことがありますか?…ないはずです。
私が勝手につけたネーミングですから。

これは正確には「コメンタリー運転」といいまして、自動車教習所で習ったことがある方も多いのではないでしょうか?

「コメンタリー」とは「解説」という意味ですが、ここでの場合は「実況」と解釈したほうがいいかもしれません。

日本交通心理学会の吉村俊哉先生によると、コメンタリー運転とは
「刻々と変わる交通状況を声に出すことによって安全意識を高める運転方法」
と定義されています。

具体的には、「次の信号が黄色に変わった」「横断歩道に歩行者が近づいてきた」
「前方交差点に右折待ちバイクあり」など、目の前の状況を自分の言葉で声に
出していくんです。「コメンタリー」とは「コメント」という言葉と語源は同じですね。

標識

では、なぜそんなことをするのか。

安全確認を目で見ただけの判断で済ませようとすると、どうしても「見落とし」をしてしまう可能性があるからです。

人間って「絶対」ミスをしますもんね。なので、そのリスクを最小限にするための方法だということです。

目で確認して心の中で完了させるよりも、「目」→「心」→「発声」→「耳」
という経路を設けることによって、その確認作業の精度は何倍にも上がるはずです。

新幹線

電車の運転士さんや車掌さん、駅員さんなどは必ず「指差喚呼(しさかんこ)」したはります。
信号を指さして「出発進行!」とか、切り替えポイントの通過時に「制限65!」とか。

阪神電車の運転士さんなんか、黄信号では必ず運転席から立ち上がって指差喚呼したはるくらいです。

鉄道の場合の確認作業には「身体的動作」も加わりますから尚更に精度と確実性は上がってくると思いますし、クルマも「実況」しながら運転すると同時に(できる範囲で)指差し確認すれば、もっとリスクは下がることは間違いないでしょう。

しかも、この「コメンタリー運転」は「漫然運転」の防止になります。

「漫然運転」とは…
「ぼんやりしていたり考え事をしていたりして、注意力がなくなる、意識が散漫になるなどの要因により、前を見ているようで見えていない状態の運転」のことをいいます。
これでは居眠り運転と変わりませんね。

「コメンタリー運転」で「実況」に集中することが「安全確認」に集中することに繋がり、それが結局「漫然運転防止」になる、ということです。

目で見て判断して言葉に変換して発声しますから(もちろん慣れもありますが)
周囲の確認に集中せざるを得なくなってきます。

運転するとき、それ以外に何か必要なことがあるだろうか!

ある調査によると、運転中のドライバーに「今何について考えていましたか?」と任意のタイミングで聞いた結果、約7割の人が「運転以外のことを考えていた」と回答したそうです。

あかんやん! それも「漫然運転」ですよ!

クルマの運転は楽しいものです。免許証とクルマさえあれば、自由に、いつでも、どこへでも、好きに行くことができます。でも、その個人の自由を享受するためには社会的な責任を負っていることを強く自覚しておく必要があるといえそうです。何かあった時の責任は重いですからね。

(閑話休題)

皆さんも何かのタイミングでタクシーを利用されることもあるでしょう。その時にドライバーが前で、なんやら「ぶつぶつごにょごにょ」とひとり言を喋っていても気色悪く思わんといたげてくださいね。

それは、より安全な運行のために「コメンタリー運転」しているに違いないのです。
…しらんけど。

 (ニコロー)

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