【おじゃまタクシー】vol.15「ハイヤーとタクシー」~その似て非なるもの(その2)

【おじゃまタクシー】vol.15「ハイヤーとタクシー」~その似て非なるもの(その2)


【おじゃまタクシー】

ちょっとおじゃまします。

【桜にN】(日本交通グループ関西)の元ドライバー 「日交郎(ニコロー)」が、タクシーやハイヤーの乗務経験 をもとに、安全運転に関することや大阪の話題などを自由に 書き綴るブログです。

おヒマなときにでも目を通していただければ幸いです。

日本交通 行灯

「桜にN」の先輩ハイヤー乗務員の難波さんと、新人タクシー乗務員の梅田くん の雑談の続きです。なんだかハイヤーのことで盛り上がっているようですよ。


(新人タクシー乗務員 梅田くん>以下「梅」)

(先輩ハイヤー乗務員 難波さん>以下「難」)

(梅)「ハイヤーの正しい言葉遣いって、難しいんですねぇ」

(難)「そうですね。でも『正しい言葉遣い』という表現は、正しくないと思いますよ」

(梅)「え?どういうことですか?」

(難)「そもそも日本語、いや日本語に限らずどこの国の言語でも、時代や環境によって流動的というか、変化していくものです。なので『より適切な』言葉遣いが大切だと考えたほうが適切や、と私は思うています。」

(梅)「えーっと、えーっと、…えーっと」

(難)「あー、なんかまわりくどい言い方をしてしもたかなぁ」

(梅)「もひとつようわかりませんけど、要するに言葉は生き物や、ということですか?」

(難)「おお!素晴らしい!(両手をポン!)まさにその通りです。うまく表現できましたね」

(梅)「いやぁ、それほどでもぉ(鼻ピクピク)」

(難)「あははは♪」

(梅)「結局、敬語の使い方の問題になるんでしょうか?」

(難)「はい、たしかに敬語の問題になるんやけど、もう少し考えを進めて『接客用語』というイメージでとらえた方がええんとちゃうかなぁ」

(梅)「あ、そこはナァんとなく理解できそうです。普通の敬語の要素も大事にしながら接客の現場で『より適切』な言葉遣いを考えて習慣づける、ということなんやなと思いましたですっ!(鼻息フンッ!)」

(難)「あっはははは!ずいぶん気合が入ってきましたね!」

(梅)「はい、ありがとうございます!…ところでハイヤーってほかにどんなことを勉強せなアカンのですか?」

(難)「ハイヤーマンになるためには言葉遣いもそうですけど、立居振舞全般とか、それ以外にも、高度な運転技術、高度な地理知識、色んな送迎のパターン、社会経済の知識、組織の中での立場を理解して人間関係を円滑に進めるために秘書検定を受検したり、大阪とか京都の歴史や文化の知識習得のためのご当地検定の受検、それとできれば英語の…」

(梅)「あー!ちょ、ちょっと待ってください!…なんか漢字ばっかりでメモしきれませーん。知恵熱が出てきそうですワー(脳みそがオーバーヒート)」

(難)「え?あぁごめんごめん、自分勝手なペースでしゃべってしもた…。でもそれほど心配しなくてもゆっくり学んでいけばええですよ。ちょっと休憩しましょかー」

(梅)「はーい。ほな、ちょっと外の空気を吸って顔を洗ってきまーす」

 (ブレイク・タイム)coffee

(梅)「スッキリしてきましたー。お待たせしました。」

(難)「はい、今までのところで何か質問とかありますか?」

(梅)「えーっと、ハイヤーのための研修もあるんですよね?」

(難)「ありますよ。座学と実技の4日間研修があって、そのあとに側乗研修、最終的に『役員送迎』の最終試験に合格すればハイヤー乗務の資格を得られますが、でも資格をとっただけではハイヤーとはいえません。多くのハイヤー乗務の経験を積み、それをハイヤー業務にしっかりと活かして、常に高みを目指して少しでも多くのことを学んでいこうとする『志』を持ち続けることが『真のハイヤーマン』になるための唯一の道なんですよ。まぁ、半分精神論ですけど…」

(梅)「うへぇ…なんかすごく大変そうです」

(難)「はっきりいうて大変です。しかもとても厳しいです。なんでといえば、それだけ非常に責任の重い仕事だからです。」

(梅)「うーん、生半可な気持ちではできない仕事なんですね」

(難)「そう。なので、ただなんとなく『稼げそうやな』という気持ちだけで取り組むと、途中で心が折れてしまうかも、ですね」

(梅)「ああ、そうかぁ。最初はちょっと勘違いしてました。すんません。」

(難)「いやいや、そんなんかまわんですよ。ハイヤーのことを知らへんかったら勘違いしてしまうのは当たり前です。」

(梅)「あのー、難波さん、ものすごーく基本的なこと、聞いてもええですか?」

(梅)「もちろん。なんでもかんでも聞いてくださいよ」

(梅)「そもそも、ハイヤーとタクシーとはどう違うんですか? 何となくですが、ハイヤーは『高級なタクシー』というイメージしか湧いてこないんです。ボ…あ、私、どうも頭が悪くて…すんませんです」

(難)「いや、そんなことはない! 梅田さん、とても理解が早くて性格も素直で、人の話しをちゃんと聞いたはります。頭が悪いなんて、とんでもないですよ」

(梅)「うわ、ありがとうございます。なんかぐいぐい自信わいてきましたわ、ははは!」

(難) (案外、単純やな)

(梅)「え?なんか言わはりました?」

(難)「いやいや、何も言うてないですよ」

(梅)「ははは!」

(難)「で、ハイヤーとタクシーの違いですね」

(梅)「あ、はい」

(難)「どちらもお客様をお乗せして送迎するという点では違いはないといえます。ただ、仕事に対して求められる内容、社会的な意味合いが違ってきます。」

(梅)「社会的な?意味合い……?」

(難)「そうですね。最初の方でもいいましたがハイヤーは社会の色んな分野でのトップの方々の送迎をしますので、その方々のビジネスにおける動向や有効な時間配分が社会全体に大きな影響を及ぼす可能性があるということです。そのような方々は、例え5分の時間であれ、とても有効に活用されますよ。」

(梅)「あ、そうか。ハイヤーでの移動時間もビジネスに有効なものにする、ということなんですね」

(難)「その通り! 卓球!!」

(梅)「…なんですか、卓球って」

(難)「ピンポ~ン♪」

(梅)「えーっと、笑わんとアカンとこですか?」

(難)「いえ、お気遣いなく! その移動時間を最大限有効活用して頂くために、ありとあらゆること、自分のできることを全てやる、というのがハイヤーマンの仕事です。『ハイヤーは動く社長室』といわれる由縁です」

(梅)「はぁ、タクシーとはレベルが違うんですね」

(難)「あ、それはちゃいます。仕事のステージが違うだけですよ。ほいで、タクシーはあくまでも『公共交通機関』なので、いつでも・どこでも・誰でも、気軽に利用していただける市民の足として、大きな意味がありますよね。」

(梅)「なるほど。社会の中での、ハイヤーとタクシーの活躍するステージの違いというのがナンとなく見えてきました。」

(難)「それはよかった。で、申し訳ないが、私はもうぼちぼち出なければなりません。またお話ししましょう!」

(梅)「あ、貴重な休憩時間にありがとうございました。すごく勉強になりました」

(難)「いやいや、私の方こそ楽しい時間を過ごせてよかったです。本当にハイヤーを目指すならナンボでも相談に乗らせてもらいますよ。またお声かけくださいね。」

(梅)「はい!ありがとうございます!またよろしくお願いいたします!」


新人の梅田くんがハイヤーマンになれる日がくるのでしょうか。楽しみです♪

(ニコロー)

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